禁煙推進委員会の取り組み

「精神科病院での敷地内禁煙の取り組み」が最優秀賞に

2019年9月29日に開催されました第3回調布医学会学術集会において、小松 晃 作業療法科長が発表した「精神科病院での敷地内禁煙の取り組み」が最優秀賞に選ばれ、調布市医師会より表彰状が授与されました。
禁煙推進委員会を立ち上げ、3年間にわたる取り組みの成果と具体的な発表に非常に参考になったと多くの方から評価を受けました。

講演時の写真
講演時の写真

病棟内の禁煙推進これまでの日程

吉祥寺病院は「禁煙推進委員会」を立ち上げ、今後以下の通りの日程で禁煙に取り組んでいます。

日時 対象
2016年9月1日から A4 病棟 病棟内全面禁煙
その他の病棟 病棟内夜間禁煙(21:00 〜 6:00)
2017年10月から 全病棟 全面(24時間)禁煙
2018年10月から 病院敷地内 全面(24時間)禁煙

病棟内の禁煙推進について

この夏、受動喫煙防止に関して、罰則規定を含む2つの法令が成立しました。1つは7月に成立した「改正健康増進法Jです。「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約Jに加盟していながら、これまで日本には屋内全面禁煙義務の法律がなく、受動喫煙対策が国際的に最低レベルとWHOから評価されてきました。改正健康増進法の成立により、ようやく屋内全面禁煙義務が法的に示されました。ただ、事業所や飲食店、公共交通機関などで喫煙室の設置を認める等の例外を多く含み、国際レベルは1段階改善されたに過ぎないそうです。飲食店における禁煙、分煙の議論が紛糾し、最終的に当初案よりかなり喫煙者に譲歩した内容となったことが国際的にどう評価されているのか、日本人としては気になる所です。

一方、健康増進法改正法案を見据えて6月に先に成立した「東京都受動喫煙防止条例」は、飲食店での喫煙等に関して国の法律より厳しく規制されており話題となりました。政治的な思惑も絡んでいるようではありますが、健康の象徴であるスポーツの祭典、オリンピックの開催を控えた国際都市としては面目躍如といったところでしようか。

2つの法案いずれでも、病院は“敷地内禁煙"とされており、これは当初案から議論の余地はなかったようです。喫煙がもたらす受動喫煙という不特定多数の他者への悪影響の事実と、健康の回復と増進を目的とする医療機関の使命からすれば、敷地内全面禁煙は当然と言えます。

当院では、喫煙される患者様が相当数おられることを考慮し、院内の喫煙に関してはこれまで分煙により対応してまいりましたが、簡単な喫煙室や喫煙所の設置だけでは分煙の徹底が難しいことが科学的にわかってきました。さらに前述の国や都の法制化の動きも勘案し、医療機関としてさらなる治療環境の改善を図り、来院されるすべての皆様の健康増進を追求するため、3年前に禁煙推進委員会を立ち上げ、日々議論しながら院内の禁煙化を段階的に進めてまいりました。一昨年9月の「A4病棟終日禁煙、他病棟夜間帯禁煙」の実施の後、昨年10月に第2ステップである「全病棟(24時間)全面禁煙」へと進みました。しかし、患者様の中には喫煙者、それもヘビースモーカーである方々が少なからずおられ、つらそうに喫煙をガマンされている姿を見るたびに、何度も気持ちが揺らぎそうになったのもまた事実です。それでも、我々が医療者であることを自覚し、すべての患者様に心身ともに健康になり早く退院していただきたいとの信念に立ち返る時、敷地内禁煙はぜひとも達成しなければならない目標だと気持ちを引き締め邁進してまいりました。喫煙される患者様からの“よく眠れるようになった"“ 食事がおいしくなった"“ 禁煙しようと思う"との声は、それを大きく後押ししてくれました。皆様のご理解とご協力により、幸い大きなトラブルなく現在に至っています。

そして、本年10月から、いよいよ最終ステップである「敷地内全面禁煙」が実施されます。喫煙者の皆様には、今一度ご自身の健康への悪影響と、受動喫煙による他者への悪影響を考えていただきたいと思います。長期間にわたり喫煙していた方でも、禁煙によって健康寿命が延びるという科学的なデータもあります。非喫煙者の方には、改めて喫煙や受動喫煙による人体への悪影響を学んでいただき、受動喫煙から自身を守ること、そして、周りにいらっしやる喫煙する配偶者や恋人、友人、知人の健康のことも改めて考えていただきたいと思います。遅すぎることはありません。この機会に、健康への新たな一歩をみんなで踏み出しませんか。吉祥寺病院は、たくさんの喫煙する患者様と、たくさんの喫煙しない患者様のご協力のもと本年10月より駐車場を含む「敷地内全面禁煙」を実施いたします。

2018年10月20日 禁煙推進委員会・小松

お問い合わせ(平日/土曜 9:00〜17:00)
042-482-9151