安全で快適な病院を目指して
行動制限最小化への取り組み
入院生活では、病状によって、治療上の必要から「隔離」「拘束」が必要となったり、「面会の制限」「通信の制限」「外出の制限」など様々な行動制 限をせざるを得ないことがあります。また、安全な治療環境を維持するために、病棟に持ち込める物やその使用に当たっての制限が必要となることもあります。
しかし入院生活において、より快適な療養環境を提供するために、また、よりスムーズな社会復帰のために、退院後の社会生活とのギャップを出来るだ け少なくすることが必要と考え、継続的に行動制限全般に関する検討・見直しを行ない、行動制限を最小にするための取り組みを続けています。
当院では、最低限の「病院としての規則」は守っていただいた上で、一般社会と同様に「マナー」が守られれば、「原則は自由」であり、「マナー」が守られない場合に限って個別に「行動制限」を行なうという「行動制限の原則」を徹底させています。
また、「すべての行動制限は個別に行なわれるもの」であり、その際には個別に「行動制限の理由」を説明しています。
当院では、以上のような原則を踏まえて、以下のような取り組みを行なってきました。
「外出時間」について
これまで、外出できる時間・曜日などが病棟ごとの決まりとして存在していましたが、病院全体として外出時間を定め、病棟ごとの決まりは撤廃しました。病状などから、外出に制限が必要な場合は、「個別に対応」しています。
「面会時間」について
家族に関しては、これまであった「面会できる時間帯」・「一回の面会時間」などの制限を撤廃し、面会者に、治療の妨げや本人の負担にならないような配慮を お願いした上で、自由に面会していただいています。また、「家族以外の面会」「病状によって制限が必要な場合」などは、「個別に対応」しています。
「病棟への持ち込み品」について
飲み物・食べ物・嗜好品・化粧品・装飾品などに関する病棟ごとの決まりが存在していましたが、これもすべて撤廃し、糖尿病などで制限が必要な場合・購入量 を自分でコントロールできない場合などの問題がある場合に限って、「個別に対応」することとしました。また、「携帯電話」に関しても、「個室以外では、通 話は指定場所で」「カメラを使用しない」などのルールが守られれば、病棟内への持ち込み・使用は自由としています。
2つの項目でS評価を受けました
入院2016年10月26日、27日に2回目の更新受審。結果、2つの項目でS評価を受けました。
項目2.2.24 患者・家族への退院支援を適切に行っている |
---|
S評価 開院以来、退院支援には積極的に取り組んでおり、病院の重要な機能となっている。入院時から患者の退院後の生活を考え、多職種が連携して行動している。 特に精神保健福祉士が入院状況、外来での受診状況、在宅での生活状況などの情報を積極的に収集し、関係者に情報提供している。 入院中は服薬教室・退院準備などのSSTプログラムが充実しており、患者の状態に応じて適応して退院へ導いている。 長期入院患者へも「チャレンジグループ」というプログラムにより退院支援へ取り組んでいる。 また、退院した患者が入院患者へ退院後の生活について話をして(ピアサポーター講演会)、退院後の生活イメージを得られるような工夫も行われている。 さらに、家族心理教育・家族教室・家族会の充実により、家族が退院を受け入れやすい環境整備を行っていることも退院支援に繋がっている。 これらの多職種での退院支援への取り組みについては高く評価したい。 |
項目2.2.25 必要な患者に継続した診療・ケアを実施している |
S評価 患者が退院後に必要な診療・ケアが受けられるように、地域の医療施設・作業所・就労支援施設などに紹介を行っているほか、保健所や訪問看護ステーションと連絡を取り支援している。自院でも訪問看護が積極的に行われており、退院前から導入に向けて多職種で取り組んでいる。 訪問看護スタッフは患者の退院後の生活を見守るほか、デイケア・作業所での患者の状況を把握している。 デイケア・ナイトケアについては「就労支援グループ」と「のんびリデイケア」に分かれており作業療法士が患者個々に合わせたプログラムを提供している。 また、デイケアになじめない場合は、外来作業療法も行われている。 これらの取り組みは社会復帰からの脱落を防ぐ工夫をしており、病院の退院支援体制を支えており高く評価したい。 |